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最後の一撃を決め、戦いに終止符を打つつもりだったエルティズ。
その表情は一瞬で驚きに変わり、目を開く。
手に伝わる感覚は紛れも無く金属。
意識のなかったはずのアレンが剣を持ち上げ、エルティズの剣にぶつけていた。
「な、何……!?」
反撃に備え、慌てて距離をとる。
アレンはがっくりとうなだれ、動く気配はない。
「……おい、アレン……?」
明らかに不思議なアレンの行動にエルティズが呼び掛ける。
「………さあ、ここからが本番だぜ。」
顔を上げたアレンの瞳が藍色に光る。
風にそよぐ黒い髪も藍色に染まった。
傷ついた剣は大剣に姿を変え、触れる物を全て凍らせるような冷気を放っている。
「……どういうことだ………?お前……誰だ?」
エルティズが構え、様子の変わったアレンを睨む。
まとったオーラがただ者ではないことを証明する。
怯えにも似た視線を受け、藍色のアレンは血の流れる頬を吊り上げる。
「………貴族のお坊ちゃんなら聞いたことあるかもな。俺の名は…………」
大剣を顔の前で掲げ、高らかに名乗った。
「裏切りの騎士、ランスロットだ。」
茂みは揺れを増す。
じっと睨み、現れる敵の先手を取ろうとエリアが詠唱を始める。
がさがさと揺れる茂みからやっとその姿が現れた。
「………!?」
「………!」
見覚えのある顔にエリアは完成した魔法を飛ばすことができなかった。
「……ジュリア………」
「エリアさん!……はっ!」
茂みから出たジュリアは、杖を向けられてるのに気づき、慌てて詠唱を始めた。
「………ウインド・ボルト!」
「……!?ウインド・ボルト!」
風の刃がぶつかり合い、消失する。
すぐに次の詠唱を始めるジュリア。
エリアは急いで木の影に身を隠し、迎撃の準備に移る。
「……エリアさん、この前はありがとうございました。」
「………この前?」
「よかったらまた案内をしてもらえますか?」
「ああ、そういうこと。もちろん案内するわよ。」
詠唱が終わった両者が楽しげに会話をする。
あとはどちらが先に解放をするか。
「どこに行きたい?服とか……本屋さんがいいかな?」
「そうですね………」
声が上からしたことに驚き、エリアが見上げる。
木の上でジュリアが微笑んでいた。
「美味しいフルーツジュースが飲みたいです!……ブレイド・エッジ!!」
「っ!!」
エリアに向かって大きな風の刃が飛ばされた。
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