両校交流戦、秋の陣~後編~

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しゃがみ込んだエリアは避けることも反撃することも敵わず、ただ目を閉じることしかできなかった。 「………?」 いつまでも刃が来ないので、不安そうにエリアが目を開ける。 「……よっ、小娘。無事だったか。」 「………あ、アレン……!?」 冷気を放つ大剣が目の前でエリアを守っていた。 「ほれっ!」 「きゃあっ!!」 振り上げた大剣から氷の刺が飛ぶ。 ジュリアの左肩をかすめ、バランスを崩したまま落下した。 「……なかなか可愛い子じゃないか。騎士として手を出すのは気が引けるな……」 落下するジュリアを眺め、剣を地面に刺した。 すると、ジュリアを中心に氷のドームが形成され、内部にジュリアを拘束した。 「……終わるまでそこにいてくれよ?」 余裕の笑みを浮かべながら、次はエリアを抱え起こした。 「………あ、アレン……?……小娘って何よ!あんたいつから――」 「まあまあ、落ち着け。俺はアレンじゃあないし、お前は小娘だろう?」 「……っ!!何言ってるの!?」 普段とは容姿も態度も違うアレンに戸惑いながらも食らいつく。 対する藍色のアレンは面倒そうに頭をかき、エリアを持ち上げた。 「……つかまっとけよ。しゃべると舌噛むぜ~。」 「え?きゃっ!」 エリアをとっつかみ、目の前にある城まで走る。 その余裕の笑みを見上げながら、何度目かのお姫様抱っこにエリアは顔を赤らめた。 「敵襲!敵襲!!物凄い勢いで来てる!エースとクイーンだ!」 「クイーンが攻めてきた?馬鹿な!逆に倒して終わりだろう!」 「それが……そのエースが異常に強いんだ。10人まとめて一瞬でやられた!」 ミセアの城の会議室では混乱が広がっていた。 「クイーンはいなくなるし……エルティズはどうしたんだ!?」 「橋からの進攻を食い止めてるはず……でもこっちに攻めてきたってことは………」 「ああ、俺が倒したぞ。」 会議室の生徒2人が青ざめる。 部屋の入口で大剣を肩に担いだ見たことのない生徒が立っていた。 その後ろには金のバングルを装備したエリア。 「……!?くそっ!」 「こ、こいつだ!藍色の髪のエース!!」 すぐに2人は杖を取り出す。 「ま、ご苦労さんだ。」 向けられた2本の杖を切り落とし、そのままの勢いで胴を切り裂く。 反則級の速さに反応できず、2人の生徒は息絶えた。
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