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(……………?)
天井が見える。
自分は寝かされているようだ。
(………ここは……どこだ?)
ゆっくり起き上がってみようとする。
「っ!」
体を走る鋭い痛みに顔を歪める。
耐えられなくなり、再びベッドに頭を戻した。
恐る恐る自分の胴を触ってみると、シャツの下に薄い布の感触がある。
(………包帯?)
どうやら怪我をしているらしい。
しかも誰かに手当をされている。
目をつぶって回想してみる。
しばらくして目を開き、戸惑った表情を浮かべる。
(何の傷だ?)
さっぱりわからない。
諦めて再び天井を見る。
ぼーっとしていると、誰かの声が聞こえてきた。
「もう……お父様ったら本当になんでも拾ってくるんだから………」
綺麗な女の子の声だった。
すぐにドアが開く音がする。
「犬や猫ならともかく、人間を拾ってくるなんて………」
ため息まじりに入ってきた少女。
上品そうな顔に金色の綺麗なブロンドがかかっていた。
(……誰だろう?手当をしてくれたのはあの子……?)
少女が近づいてくる。
ベッドの横に立つと、こちらが目を開けていることに驚いた様子だった。
「あら、目が覚めたの?」
「……あ、ああ………」
少女はこちらを不思議そうな目で見つめている。
大きく、澄んだ琥珀色の瞳で見つめられると、不思議と心が高鳴る。
一方の少女はつまらなさそうに澄ました表情で、しかし興味深げにこちらを観察しているようだった。
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