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「………あ、あの……」
アレンが恐らく久々の食事に夢中になっていると、隣でメイドがもじもじしていた。
「急だったのでこんな物しか用意できなくて……すいません。」
「いや、美味しいですよ。ありがとう。」
メイドに優しく笑いかける。
「わ、私はミーアといいますっ!」
「俺はアレン。よろしくね、ミーアさん。」
右手を差し出す。
「こここちらこそっ!」
(か、かっこいい………)
ミーアも右手を出し、握手する。
その顔は火が出そうなくらいに赤く、熱い。
澄んだ湖のような青い髪と瞳だった。
(可愛い子だなぁ………)
下を向くミーアの顔を見てぼんやりと思う。
エリアもなかなかの美少女だが、ミーアも負けていない。
(むしろ胸がある分………)
「えとえとっ、お手伝いは明日からお願いします!今日はお屋敷を一通り案内しますからっ!」
「うん、わかった。………あの、」
「はひっ!?なんですか!?」
声をかけられて固まるミーア。
「………男の人苦手だったりする?」
「そ、そんなことはないですっ!」
「そう。ならいいんだけどさ………あと、手……」
握手した手がミーアにがっちりと掴まれていた。
「あ、すいませんっ!」
気づいたミーアが慌てて手を離す。
「別に謝らなくても……」
「ま、まず寝室はこっちです!」
早足で歩き出すミーア。
アレンからその表情は見えない。
(可愛いなぁ………)
せかせか歩く背中を見て、アレンはエリアに乱された心を癒した。
「ここがお部屋です。」
廊下の端っこ、大きな部屋に案内された。
「へぇ~……広い………ん?」
2段ベッドが2つ置いてあった。
「アレンさんは右のベッドの下を使ってください。」
「ちょっと待って………もしかして相部屋なの?」
「そうですが……や、やっぱり嫌ですか?」
ミーアが肩を落とす。
「嫌ってことはないけど………え?何人雇われてるの?」
「ここは仮住まいですから、私の他には、ミネルバさん、ケリーさんです。」
(4人………ベッド4つ……ってことは………)
「ミーアさんも相部屋?」
アレンに名前を呼ばれ、顔を赤らめる。
「は、はい。……これからよろしくお願いします。ミーア、で構いませんよ。」
ぺこりと頭を下げるミーア。
「ああ、うん。俺のことも好きに呼んでね。よろしく。」
釣られてアレンも頭を下げた。
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