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おじさんの勘違いと分かり、ホッとした。
男だったら成立するこの許婚も、女と分かった今、白紙に戻る事だろう。
「逆によかったよ!これで晴れて許婚成立だな!ハハハッ」
「そうだな。」
「鞠緒よかったわね~。こんな綺麗な子と許婚だなんて。」
は?
何を言ってるんだこの親バカトリオは。
「えっ?ちょ、ちょっと勝手に話進めないでよ!あたし女だったんだよ?おじさん。女同士なんてこの日本じゃ無理だから!」
勢いよく立ち上がり必死に抗議した。
「こらっ、鞠緒!お行儀悪いわよ!」
母さんが小声であたしを制したが、問題はそこじゃないだろう!
「だって!」
「鞠緒、綾千代くんでは不満か?」
「だから…って、えっ?!」
今、何て?
「綾千代くんは男だそ。れっきとしたな。」
父さんの低音の声が頭に響く。
綾千代くんは男だぞ…
綾千代くんは男だぞ…
綾千代くんは…
お と こ…
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