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「…男…?…嘘でしょ?」
「何故嘘をつく必要がある?」
「だって、男ならなんでこんな格好してんの?意味分かんないでしょ!」
そうだよ、何で女装なんか。
すると、あたし達のやりとりを見ていた綾千代が静かに立ち上がった。
「鞠緒さん、先程父があなたの事を勘違いしていたと言っていたでしょう?」
綾千代は初めて会った時とは違い、はっきりした口調で言った。
「うん…だから、逆に許婚としては成立しないって…。」
「それは違います。わたくしはれっきとした男です。この格好は幼少の頃から変わらないわたくしのライフスタイルですから。」
「えっ?」
益々理解出来ない。あたしは困惑した。
「鞠緒ちゃん、その理由は僕が話すよ。」
戸惑いを隠せないあたしに気付いたのか、おじさんは、先程とは打って変わり、冷静に話し始めた。
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