運命のイタズラ

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「僕の妻の家系はね、昔から女系一族なんだ。後継ぎは全て女性。だから妻の祖父も父も皆、入り婿。もちろん僕もね。」 おじさんは少し淋しそうな目をしていた。 付き合いが長いとはいえ、父さんも初めて聞いたのか、少し驚いているようだ。 「問題はそこではなく、生まれた子供が男の子だったっていう事なんだ…。」 おじさんの話はあたしの想像を越えていた。 ------------------------------------ 英二郎の妻、葵(アオイ)の家系は100代以上続く生粋の女系家族。 後継ぎは勿論、女でなければいけないのだ。 しかし、生まれてくる子が全て女とは限らない。 もし男の子が生まれると、家系で一番の決定権を持つ大祖母の命令により、里子に出さなければならなくなるのだ。 どんなに泣き叫び逆らっても無駄なあがき。無理矢理引きはがされる…。 そんな場面を葵は何度も目の当たりにしてきたという。 そして、葵は学生時代の先輩で、自分の家系の事情を受け入れてくれた英二郎さんと、結婚し、子供を授かった。 しかし、二人を悲劇が襲う---------。
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