80人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕の妻の家系はね、昔から女系一族なんだ。後継ぎは全て女性。だから妻の祖父も父も皆、入り婿。もちろん僕もね。」
おじさんは少し淋しそうな目をしていた。
付き合いが長いとはいえ、父さんも初めて聞いたのか、少し驚いているようだ。
「問題はそこではなく、生まれた子供が男の子だったっていう事なんだ…。」
おじさんの話はあたしの想像を越えていた。
------------------------------------
英二郎の妻、葵(アオイ)の家系は100代以上続く生粋の女系家族。
後継ぎは勿論、女でなければいけないのだ。
しかし、生まれてくる子が全て女とは限らない。
もし男の子が生まれると、家系で一番の決定権を持つ大祖母の命令により、里子に出さなければならなくなるのだ。
どんなに泣き叫び逆らっても無駄なあがき。無理矢理引きはがされる…。
そんな場面を葵は何度も目の当たりにしてきたという。
そして、葵は学生時代の先輩で、自分の家系の事情を受け入れてくれた英二郎さんと、結婚し、子供を授かった。
しかし、二人を悲劇が襲う---------。
最初のコメントを投稿しよう!