あなたが好きだから

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「てか拓ちゃん、もうすぐ昼休み終わるけど…サボり?」 「まあな~。朝方までゲームやっちまったせいで昼飯食ったら眠くて眠くて…ここなら誰も来ないしな。」 ヒカルと拓海は親しそうに話している。 あたしは弁当箱を片しながら二人の会話を聞いていた。 「そういえば、さっき校長室の前ですっげー可愛い子見たんだよ!マジタイプだった~。」 拓海は思い出したようにそう言うと、目をキラキラさせていた。 「なんだろね…転校生かな?」 あたしはヒカルと顔を見合わせながら考えた。 今は10月。この時期に転校生は幾分季節外れだ。 「なんか髪の毛も黒くて、ボブくらいかな?目もクリクリでさ~、色も白くて、唇とか超ピンクなんだよ!」 ん?髪がボブくらい? 目がクリクリで色白? つい最近そんな子に出会ったぞ…もしかして! 「ヒカルごめん!先に戻るわ!」 嫌な予感が横切った。 あたしの様子に二人はびっくりしている。 「り、了解。あたしももうすぐ戻るし。」 「ごめんね!またね拓海!」 「お、おう。またな。」 そのまま転がり落ちそうになるのを堪えながら階段を急いで駆け降りた。 もしかしたら、綾千代かもしれない!
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