あなたが好きだから

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--------------------------------------- 校長室前の廊下に差し掛かると、ちょうど綾千代が校長室から出るところだった。 「それでは失礼いたします。」 綾千代は軽くお辞儀をした後、あたしの立っている方に向き直り歩き始めたところであたしと目が合った。 あたしに気付いた綾千代は一瞬びっくりしていたが、すぐに笑顔を浮かべあたしの方に走り寄ってきた。 セーラー服を来て走るその姿は、どっからどう見ても可愛い女の子にしか見えない。 「鞠緒さん、わたくしこちらの高校に通うことになりました。」 綾千代の口から飛び出た言葉に、あたしは驚きを隠せない。 「なんで…なんでそこまでするの?」 「鞠緒さん…どうかされたんですか?顔色が優れませんよ?」 下を向き、聞こえるか聞こえないかどうかの声で問い掛けた。 それは綾千代には聞こえなかったらしく、あたしの様子が変わった事に戸惑っている。 「なんで転校までしてくんの?有り得ないでしょ!普通!やめてよ!すっごい迷惑!」 ついつい声を荒げてしまった。 言った後はっとして顔を上げると、綾千代は凄く淋しそうな顔をしていた。
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