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顔に息がかかる。香水なのか凄くいい香があたしの鼻をくすぐる。
「鞠緒さん、あなたがこの格好が嫌だとおっしゃるのでしたら、わたくしは女の格好を捨てます。あなたが振り向いてくれるなら、わたくしはどんな事でも致します。」
綾千代の表情は普段の可愛らしい綾千代から想像出来ない程凛々しくて、男の顔をしている。
真っ直ぐあたしの目を見つめる瞳から視線を反らせない…どうしよう!
「鞠緒さん、わたくしだって男です。そんな表情されると…我慢出来ません。」
そう言うと、再びあたしの頬を優しく撫で、そして、唇に微かに触れた。
ドクン…ドクン…
顔や全身が熱い。
嫌なのに、嫌なはずなのに…拒めない。
あたしの様子を見ていた綾千代は、
「鞠緒さん、あなたは世界一可愛い女性です。」
と呟き、唇を重ねた。
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