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平静を装い下に降りていくと、リビングでは母さんがベッタリと綾千代の隣で頬に氷嚢を当てている。
「大丈夫~?何があったの?」
まるで自分の子のように…ていうか、あたしはそんな優しくされた事はないが、心配そうにしていた。
当の綾千代は苦笑いを浮かべて答えずらそうだ。
「母さん、ご飯まだ?」
あたしの声に気付いたのか、二人して振り向いた。たまたま綾千代と目が合い、すぐに視線をそらした。
あんな事があったのに、普通になど出来る訳がない。
「あんたは食い意地張りすぎなのよ!綾ちゃんが大変な事になっているのに!」
ねえ~、と再び綾千代の方に向き直ってしまった。
母とは裏腹に、綾千代は申し訳なさそうな表情を浮かべてこちらを見ている。
やめてよ…見ないでよ。
視線から逃れるようにシンクの方を向きコップに水を汲んだ。
また顔が赤くなっているのが分かる。
もう!どうしたらいいんだよ~!
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