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翌朝は散々だった。
「うわっ!鞠緒何その目!ガチャピンみたいになってるよ!昨日何かあったのかい?!」
登校したあたしの顔を見るなり、ヒカルは奇声を上げた。
「…ちょっとね。てかガチャピン可愛いじゃん。」
何て答えていいか分からず、何故かガチャピンを褒めていた。特に好きではない。
「てか聞いた?今日、隣のクラスに転校生来るらしいよ。やっぱ拓ちゃんが言ってた子かな?」
端から見てもヒカルがウキウキしているのが分かる。
綾千代、隣のクラスに入るのか…。よかった。
朝は全く顔を合わせてないし、特に母さんも言ってなかったからどうなる事かと思ったけど。
「ねえねえ、後で覗きに行こうよ~!どんだけ可愛いのかみたいじゃ~ん!」
あたしの制服を掴み、ヒカルは子供がお菓子をねだるようにクネクネしている。
「やだ、だってそれ例の綾千代だし。」
「…へ?マジで?」
「はい。本気と書いてマジです。」
はっ!!何なんだその悪そうな笑みは!
しまった…。ヒカルに格好のネタを与えてしまった。
「実に面白い…。」
「ガ、ガリレオっすか!?」
「はははっ!楽しみだなぁ~。」
予鈴が鳴り、ヒカルは自分の席に戻って行った。
ますますややこしくなる予感を痛いほど感じていた。
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