気持ち、ウラハラ

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教室に一歩足を踏み入れると、一気に大勢の視線が私に注がれる。 所々でざわつき始めた。「可愛い」だの「悔しい」だの、反応は様々。 そんな中で自己紹介が始まった。 「神野綾千代です。今日からこちらのクラスでお世話になります。よろしくお願いいたします。」 お辞儀をした後、辺りを見回す。反応がない。 そう思った矢先、 「大歓迎~!綾千代ちゃ~ん!」 「ようこそ~!」 「何なのあのキューティクル!」 素直に驚いた。 何なんだろうこの盛り上がりようは。 「では神野さん、奈良橋くんの隣の席が空いてますので、そこを使ってください。」 早川先生が指差し指示した先を見ると、窓際一番後ろの席の男子生徒がこちらを見ながら手を降っているのが分かった。 彼の隣の席が空席になっている。彼が奈良橋くんか。
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