80人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいま~!」
ドアを開けると香辛料のいい匂いがしてきた。今日はカレーだな。
「お帰りなさい、鞠緒。」
奥からエプロンを付けた母親が出迎えてくれた。
「母さん、夜カレーでしょ。なんかあんの?」
高梨家は特別な事があると、一流レストランのコックだった母親が本格的なカレーを作る。
かなり評判がいい。
なんせ、一週間も前から仕込みにかかるのだ。
「あらっ、あんたは鼻がいいのね~!それが成績にも表れればいいのに。今日は、17年振りにお父さんのお友達が来るのよ。だからおもてなししないとね。」
そういいながらキッチンの方に戻って行った。
…会話の途中、いらぬ事を言った件については聞かなかった事にしよう。
それにしても、父さんの友達が17年振りに来るのか…って事はあたしは会った事ないな。
どんな人か楽しみだ。
あたしは階段を軽快に駆け上がり、自分の部屋に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!