気持ち、ウラハラ

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「すみません…何故か涙が込み上げてきちゃって…本当にすみません…。」 そう言うと、綾千代はスカートのポケットからハンカチを取り出し、頬を伝った涙を拭った。 あたし達三人はその光景をただ見ている事しか出来なかった。 プルルルル~! 曲が終わり静まりかえった室内に電話の音が響く。 「はい!えっ?いや、延長はいいです、はい。」 「ヒカル、終了?」 「延長しなかったけどいいよね。」 「そうだな…。」 それから程なくして解散 した。 「ほんじゃ鞠緒、綾ちゃんまたね。」 「じゃあな。気をつけて!」 あんなに盛り上がっていた拓海やヒカルも素直に駅に向かって行った。 あたしと綾千代は一言も会話せずゆっくりと家へと歩き出した。 綾千代の涙は何だったのか、本当は凄く聞きたかったのに、何故か上手く切り出せず、微妙な距離を保ちながら歩を進めた。
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