甘い温もり、ココロの痛み

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正直気が重い…。 掛ける言葉を必死に考えながらゆっくり階段を登ってみたが、広くない我が家。 すぐ綾千代の部屋の前まで着いてしまった。 「はぁ~…仕方がない。」 小声で呟き、ドアをノックした。 「…はい。」 少し間があったが、綾千代の声が聞こえた。 「あたしだけど…開けても大丈夫?」 「鞠緒さん…?大丈夫ですよ。」 綾千代の承諾を得て、ドアを開けた。 部屋に入ったものの、沈黙が辛い。綾千代は勉強でもしているのか、机に向かってペンを走らせている。 「あっ…えっと…これ。母さんが持ってけって。」 そう言い、部屋の中央にある丸いテーブルの上に置いた。 初めて入った綾千代の部屋は、見た目に反して木目調のシンプルな家具で統一されていて、まだ開けられていない段ボールがいくつか置かれていた。
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