序章

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天野・帝(あまの・みかど)は天才的な高校生の一人だ。日本でトップクラスの進学校でダントツの成績。目をみはるような華麗なる運動神経。そのうえ容姿端麗で、その両親はIT企業の会長と社長だ。親戚には政治家や高級官僚、国家公務員とお堅い顔ぶれが続く。 『素晴らしい朝だ。紅茶はやはり淹れたてに限る…』 彼は孤独に生きる一匹狼だ 『おはようございます。ご主人様』 この豪邸で唯一 日常生活面で彼の世話を任せられたのが。幼い頃からこの屋敷で働いている彼が会話をする相手の一人。メイドの『リリー・S・如月』 彼は完璧すぎた故に心を開く相手は極少数だ 『お…おはようございます』 学校では怯える下級生を相手に自慢することもなく颯爽と専用のハイヤーで通学する彼 誕生日が4月1日だが彼はすでに車の免許を持っていた 彼は孤独だった 一年オーストラリアに留学した経験のせいで。英語は読み書き会話はすでにマスターしている。その間、学校は休学していたから。正確には四年を学校で過ごしたと言える。彼は卒業を控えいたが。彼には友と呼べる存在は今の所、誰一人としていない… それは 人間ばなれした彼を まるで違う生物をみるかのように接する彼の周囲の人間たちの態度に現れていた 彼は孤独だった 天涯孤独だった 運命を変える、その日を迎えるまでは…
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