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「全く…返せばいいんでしょ。返せば」
沖田さんは渋々懐に隠していた発句集をだした
「最初から渡せばいいんだよ」
土方さんは睨みをきかせてそういった
私もそう思う
「土方さーーーん!投げますよぉお」
凄いいきおいで本が舞い上がって
ホッとしていたのもつかの間
バサッ
土方はその場から動くことはなく豊玉発句集は地面に落下した
みていた近藤
近くにいた斎藤 藤堂
泣いていた原田
励ましていた永倉
そしてたまたま通り掛かった伊東もまるで時間がとまったように動かなかった
それは誠も同じである
…理解するのに時間はかかったけれど
私沖田さんとキスしてる…
確かに本を投げた瞬間肩を抱き寄せられて唇が合わさった
どうして…いきなり
誠が真っ白になっていると沖田はゆっくりと離れた
「土方さん。誠さんは本のようにはいきませんよ」
沖田さんはニッコリ笑っていた
しれば迷い
しなければ迷わぬ
恋の道
誠の道は急激に曲がり始めた
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