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明里へ
私は君を想えど苦しくなり胸が張り裂けそうになる
この想いは
「…山南さんが書いた恋文?」
書いてあった文を見て私はそういった
明里さんは他の紙も開けて次々とみていった
「うちがな山南はんから貰った恋文て一通だけやねん」
「山南さん…何回も書き直したのかな?」
どれをみても同じようなことが書いてあってそれしか思い浮かばなかった
「恋文書いたことないから下手くそやなんや言うたはったわ!フフ…これなんか字まちごうたはる」
明里さんは嬉しそうにその恋文を束ねていった
「何にも一生懸命な山南さんらしいね」
私がそう言ったら明里さんはクスクス笑っていた
「本間やわ。全部くれたらよかったのに…すきやのなんやの…うちは下手でも嬉しいのに」
いつの間にか明里さんの笑いが消えて一粒の涙にかわっていた
楽しかった日々を思い出してしまったんだろう
私は明里さんの背中を優しくさすった
「あかんわ…またしんみりしてしもた。なんか嬉しかったんやもの」
「山南さんよっぽど明里さんが好きだったんだね」
わたしがニッコリ笑ったら明里さんも涙を拭って微笑んだ
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