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「誠く~ん」
しんみりした空気を割るように近藤さんの声が聞こえた
「はぁい」
私は返事をして山南さんの部屋の障子を開けた
「あ!いたいた!明里殿は?」
「いますよ中に」
「なんかようですやろか?」
近藤さんが捜していたのはどうやら明里さんみたい
「いやね…実は」
話を始めてよいしょなんていいながらあぐらをかいて座る近藤さん
「これなんだけど…」
「はぁ…」
近藤さんが明里さんに風呂敷に包まれたものを差し出した
「山南さんに頼まれてたんだよね。明里殿に渡してほしいって」
「山南はんが…?」
明里さんが頭を傾げながら風呂敷をあける
中をみた瞬間彼女は顔色をかえた
「こんな大金!!!もらえまへん!!!」
「いや…でも山南さんが君と生活するために貯めたって言ってたし…君に渡してくれって」
「そんなん言うたかて…うちはこんなことしてもらう立場やありまへん。身請けもしてもろてさらに」
「…受け取ってあげてよ。山南さんが明里殿に絶対になんて言ったから」
近藤さんが興奮した明里さんをなだめるようにそういうと彼女は納得いかないような顔をまだしていた
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