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期末テストが返ってきた。
教卓の後ろにたった担任の先生は束の答案用紙を片手に次々と生徒の名前を呼び始める。
そして私、藤澤千鶴が呼ばれた。
「藤澤」
「はっ、はい!」
緊張していた。
だっていつもよりは沢山勉強したのだから。1日4時間、たまに休んだり1時間だったり30分だったりした事もあるが、頑張ったつもりだ。
しかし先生から用紙を受け取って私は努力したら報われるという事が嘘だと判明したのだった。
「な…そんな…」
大きく落胆する。そしてすぐさま左上に書かれた点数を隠すように、上の左端を折る。
頑張ったのに……
点数は50点だった。そして2枚目のテストはもっと最低だった。
数学は元々苦手で放置していたのがいけなかった。私は一つの教科に重視し、ひたすら勉強をした。あとは勘やわかるところを補えればそれでいいと。
しかし重視した教科が50点だったのだ。絶望的。
そして数学の点数はというと、0点だった。
リアルにいるんだと馬鹿にするくらい、赤い字で大きく0と書かれていたのだ。
「…はぁ」
小さく溜め息が出る。その時だ。辺りに歓声が響いたのは。
「各務さすがだな!また満点かよ」
「当然だろ。毎日かかさず勉学していたからな」
「またまた天才は努力を知らないんだからどうせ授業受けただけでテストわかったんだろ?」
「天才でも努力はするものだ。それに甘えて威張るものは天才ではない」
「素敵、各務君」
各務遼。生徒会長で学年ナンバー1の秀才。
父は大きな有名な病院の院長、母は会社の社長という家も凄いお金持ちだ。
勉強も運動も出来て、本当に完璧主義者っているんだなと思う。
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