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親元クンに話し掛けつつも横目で眺めるのには丁度良いポジションではないだろうか。
早速見詰める。ふむ、可愛いのう。ピンク色のシャーペンなんか持っちゃっていてよりキュートではないか。
「アツ、見すぎだよ。はっきり言って気持ち悪いよ」
煩い、僕の標識はいつも見えにくい一方通行なんだよ、親元クン。
「確かに可愛いと思うけどね、てか隣、大久保じゃん、ドンマイ」
「大久保って?」
親元クンは知らないのかよーと呆れた顔をする。残念ながら僕はまだクラスの半分も名前を覚えていない。
「俺、出席番号近かったから知ってるけど、かなり毒舌でキツイ性格だぜ。おっ、来た」
親元クンの視線に流されて僕の視界にも一人の女子が入って来た。
うおお…、これは恐い。
女子にしては高めの身長で、きっと立っても僕とあまり変わらないだろう。しかし、恐いと感じたのは背の高さではなく、その鋭い目付きだ。綺麗に細く整った眉毛と合間ってなんだかとても畏怖の印象を抱いてしまう。
イケてない冴えない普通の少年Aの僕とは存在感がまるで違う。
隣の席に腰を下ろすと僕の方も見向きもせずに僕の反対側の隣に座る女子とお喋りを始めた。
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