『手』にまつわる覚え書

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ガラス戸を正面にして座っているパーカーの男性をよく見てみると、違和感を感じた訳がわかった。 彼は、もうひとりの男性と会話しながら私をじぃっと見つめていたのだ。 ふと眺める、といったものではない。目を心持ち見開いて、凝視といった方がいい。彼はじぃっと私の足元を見つめていた。 それに気づいて、私はとても不快な気分になった。 私は男性に眺められるような容姿をしていない。 こんな風に見つめられるのは初めてだった。 好意をもった視線というのがどんなものか、それを向けられたことのない私にはわからなかったが、彼のそれはそんなものではないと確信できた。 見たことのないようなものを見てしまったような目。 そんなに私の脚は、太くて醜いだろうか。 視線から逃れるように私は店の中に駆け込んだ。
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