転落

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部屋に入るなり、父は私につかみかかった。 殴られて、蹴られた。 私はその場で『すみませんっごめんなさいっ』叫ぶしかなかった。 泣き崩れた私を尚も蹴り続ける父… 私を泣きながら抱きかかえて守ってくれた母… 体より心が痛かった。   "殺される" 私は必死に逃げた。 泣きじゃくりながら必死に転がるように階段を落ちた。 その後から母が急いで降りてきて ぐったりした私を抱きしめ『ごめんね、ごめんね、もう大丈夫だよ』 何度も何度も 子供をあやすように 呪文のように 母は言った 私はただ泣きじゃくってガタガタと震えるしかなかった。
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