無防備な寝顔

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奇妙な友人が出来てしまった。 話も性格も育ちも正反対な俺は真山という一人の優等生様と友達になった。 事の発端は担任に呼ばれてが始まりだ。 『お前このままだと留年だぞ』 『留年…別にどうでもいいし』 『アホ!せめて高校卒業してくれないと親御さんが悲しむだろ』 『別に…あんな親…俺に何の期待もして…』 その時、珍しく携帯の着信音がなった。 俺はあまり人とは連まない。携帯番号を教えてるのは親だけだった。 何年振りだろう。家に帰ってもすぐに自分の部屋に向かったまま、親と会話しない日が二年続く。 何故会話しなくなったのか記憶にない。多分くだらない親子喧嘩が今もこうして延長しているのだろう。しかし俺が頑固なら向こうも頑固。折れる事はない延長戦。 そんな中の着信の点滅に俺はなんとなく嫌な予感がして通話ボタンを押した。 すると悲痛な声のお袋の声が耳に木霊したのだ。 『お父さんが…お父さんが!』 突然だった。 突然倒れて、突然何も言わずに逝っちまった。 あいつは最期まで俺の名前を呟いてたらしい。 そう聞かされて俺の瞳から何故か涙が溢れた。 親なんてまだまだ長く生きるものだと思っていたから。それにオヤジがそんな早く逝くわけないと思っていた。 でも死んだオヤジの顔をみた時、“こいつ誰だ”と思った。 凄く小さくて…凄く弱くみえた。 あれが二年間顔をみせなかった結果なのだとしたら、俺はなんて馬鹿な事をしたのだろう。 くだらない喧嘩に何故早く折れてやれなかったのだろう。 自暴自棄になって手当たり次第の不良を一人で喧嘩して殴って殴られて……何かに訴えるようにストレス発散して… 俺は…何をしたかったのか。 一人家族を失った事で何か胸の中がぽかんと開く… 俺に出来る事ってなんなんだ? 今俺に出来る事… あぁ…そうか…せめて高校は卒業しないといけない。 留年になっちまったら、死んだオヤジに笑われてしまう。 死者に笑われちまうなんて格好悪いよな。 だから俺は… 『勉強…教えてくれないか?』 クラスメイトの真山に頼んだんだ… .
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