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ただ、勉強を教わればいいと思っていた。
しかし何故か俺は真山をマックやゲーセンに誘っていた。
俺は真山と仲良くなるつもりはなかった。ただ勉強を教わればいいと思っていたのだから…
だが真山という人間をみてると勉強漬け過ぎて見ていられないというか、少しでも勉強以外に楽しむ事を見つけられればもっと周りに溶け込めると思い、誘った。
本人は周りにとけこめるようになりたいみたいだし、その原因が勉強だというのをイマイチわかっていないようだし。
だから手軽な場所に誘ったのだが…
『……』
真山という男は……優秀な優等生にみえて…少し…いやかなりおかしな奴だと一緒にいてわかった。
他の奴と変わらない。
それにどこか安心したのかついつられて俺も笑ってしまった。
UFOキャッチャーでとったくらいで大騒ぎして喜んで、まるで女みたいだが嫌な気はしなかった。
こんな俺でも役にたつ事が出来ると知ったから…
そして気付けば友人になったわけだ。
真山という男は俺と何もかも正反対なのに、一緒にいても苦にならない……不思議だ。
「で、ここでこうすれば答えになるんだよ」
「へー…意外と簡単だな」
「公式を覚えれば簡単だよ」
真山の教え方は上手い。授業で教える教師の説明はかたっくるしくて頭に入らないが、真山の説明は的確で早くて簡単で、スムーズに頭に入ってくる。
それでも…やはり長時間こうだと眠くなるわけで…
「穂純君?」
「わりぃ…ちょっと休憩」
放課後の図書室は人気ない。いてもほんの3~4人程度。
俺は机に顔を腕で伏せて寝る体勢になった。真山は怒る事なく微笑む。
「うん…おやすみ」
「あぁ…」
やっぱり良い奴…優しい奴は俺じゃなくあんただよ…真山…
そして俺は深い眠りについた―…
どれくらい寝ただろうか。
「ん…」
身じろぎして物音一つないこの空間で俺は深く閉じてた瞳をそっと開ける。
電気がついたまま、窓の外を見ると既に真っ暗になっていた。
「やばっ…寝過ごした!」
起き上がる。その勢いで机が音をたてる。
それと同時に違う声も耳に入った。
「ん…」
「?」
驚く。
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