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「…真山…」
「ん…」
真山が寝ていた。
多分俺に釣られて眠ってしまったのだろう。
「おい起きろ…おい」
「ん…ん」
「っ…」
ただの寝息に何故動揺しているのかわからない。
相手は男だ……それなのに……俺はどうかしている。寝起きだからか…?
とにかく俺は真山の肩を強く揺すって起こした。
「おい起きろ…もう暗いぞ」
「ん…穂純君…」
「なっ…」
「……」
しかしただの寝言だった。それでも動揺が消せない。一体何の夢をみているのか。
それにしても…今更だが…
「……」
気持ち良さそうに眠っている。
起こすのが勿体無いくらいだ。
それに意外と寝顔が男のくせに可愛いと思ってしまった。無防備で危ない……女に喰われちまうと思うくらい…いや、下手したら男にも…
「あーくそ、調子が狂う」
真山といるといつもこうだ。
男のくせになんかほうっておけない。
頭良くてなんでも出来るのに微妙に抜けているから…
「……幸せそうな寝顔しやがって」
一体どんな夢をみているんだか…
俺は悪戯につんつんと真山の頬を人差し指指でつついた。
「ん…ん…」
「柔らかい」
男のくせにもちもち肌。
俺はもう一回つついた。
そしたら同じ反応が返ってくる。
なんだか面白い。
「ほら…起きろよ」
「くー…」
「完全に爆睡…。…おい…早く起きねーとキスするぞ」
大抵こう言ったら反射的に起き上がるものだ。何故なら男がキスするってんだからな。
なのにこいつは眠ったまま。
虚しい…さりげなくスルーされて複雑だ。
「おい…本当にキスするぞ。トラウマになっても知らねーぞ」
「……」
駄目だ。完全に目を覚ます気配がない。
俺は忠告したからな……起きないあんたが悪い…
不思議と抵抗はなかった。無邪気に無防備に眠っているからだろうか…
俺は少し身を乗り出し、真山の額にキスを落とす…
(…あぁ…微かなシャンプーの良い香りが……て!)
はっ、と我に返る。
な…何してんだ俺…
忠告したって悪戯でも男にキスなんて…
「俺はどうしちまったんだ。こいつといると本当調子狂う」
こいつ見るとなんか守ってやりたい衝動が……
明らかにおかしい男相手に…
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