正反対の二人

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「でもそんなちびちび食べない方がいいぜ?貧乏人にみられちまうぞ」 「そ…それは嫌だな」 「だろ。また食べたいなら何度でも付き合ってやるから、普通に食べろ」 「えっいいんですか!」 ガタンッ、と大きくテーブルを揺らし、僕は無意識に穂純君の手をとってぎゅっと握った。 「有難うございます!穂純君ってとても優しいんですね」 「な…」 ぎゅっと握る手。 が、すぐに手を離される。 「それくらいで礼すんなよ恥ずかしい奴だな」 「ご…ごめん」 微かに穂純君の顔が赤いのは気のせいだろうか。 「にしてもあんたって変わってる」 「え」 「いや…優秀な奴は皆変人なのか…」 「な…失礼ですよ」 「怖くないんだな」 「え」 穂純君の言葉に目を瞬く。しかしすぐに僕は笑った。 「ふふ…怖くないですよ」 「そうか?大抵の奴は俺に睨まれたら怯むぜ」 「確かに穂純君の睨みは強烈ですが、怖くないです。だって何もかも正反対の僕と一緒にハンバーガーを食べている…誘ってくれる。穂純君は良い人です」 「良い人ね…」 複雑そうな表情を浮かべ、ハンバーガーを頬張る。 「噂をきくとあまり良い事はないですが、実際今こうして一緒にいて……その噂は嘘だってすぐにわかります」 「嘘?」 「だって穂純君…優しいですから」 「………」 あれ?何で固まってるんだろう。 硬直からやがて解かれた穂純君はまるで照れ隠しのように頭を乱雑にかく。 「良い人の次は優しいって…本当…意味わかんねー」 「そう…ですか?」 「あぁ…気まぐれで誘ったかもしれないだろ。また誘うといってももしかしたら俺は忘れてるかもしれない」 「…そう、ですか。そうですね。確かに気まぐれというのもありますね。すみません、誘ってくれたのがあまりにも嬉しかったのでつい…」 「いい……はぁ、調子狂う」 深い溜め息を吐き、シェイクをズズーと吸う。 僕は穂純君をよく知らない。同じクラスメイトでちゃんと会話をしたのは今日が初めて。 穂純君から声を掛けてくれなかったら僕は多分彼と関わる事はなかったと思う。 穂純君がきっかけをくれたのだ。
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