正反対の二人

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穂純君と友達になれたら……毎日が楽しいかもしれない。 でも穂純君からしたら僕はきっとつまらない男に見られているんだろうな。 さっきから呆れて溜め息で…迷惑をかけている。 「よし」 僕もUFOキャッチャーで何かとって穂純君にプレゼントしよう。 そう…思って小銭をいれたが……上手くいくわけではなくて… 「下手だなあんた」 「ひゃあっ!」 「っ…変な声出すな」 「ご…ごめんなさい。まさか後ろにいたとは思わなくて…」 「で?何回目なんだ」 「え…」 「さっきから真剣に……とても楽しんでるようにはみえないな。あんたってこういうのを楽しむっていうよりいかに的確にとれるか計算しながら慎重に選んで取ろうとするだろ。それ…地雷だからな」 「そ…そうなんですか」 「で?何回目なんだ」 「五回目…です」 「あんたさ…」 「僕にはこういうの向いていませんよね」 「…じゃあ…一緒にやってやるよ」 「え」 一緒?意味がわからず振り向くと穂純君の顔が近くにあってびっくりした。 「ほ…ずみ君?」 まるで後ろから抱きかかえられる奇妙な体勢に少し焦った。 「いいか、狙うのは物の向きとなるべく穴に近いやつをだな…」 「う…うん」 ボタンに手をやる自分の上に穂純君の手が重なる。 何故かドキドキしてしまった。 これはおかしな事だろうか。いや、おかしくない。誰だっていきなり後ろからこうされちゃドキドキするものだ。相手が同性でも… 「で、ここで決定ボタンを押して」 「………!」 目を見張った。 ぬいぐるみが穴に落ちたのだ。レバーの端を上手く使って落としたその技に僕は驚く。 「凄い…」 「あんたが落としたんだ…凄いのはあんた」 「そんな事……、穂純君の手は魔法みたいですね」 「はは…あんたってやっぱ変な奴だな。それくらいで褒められちゃ悪い気しねーけど」 「あ…」 「?なんだ」 「なんでも」 今…初めて穂純君が笑ったような気がした。笑うと印象が変わる。 僕はとったぬいぐるみを穂純君に渡す。 「は?」 「お菓子のお礼です」 「律儀だな…でも俺がぬいぐるみって柄か?」 「あ…すみません」 「あんた謝ってばっかだな。…まぁいいか、気まぐれに貰ってやるよ」 「!」 良かった。 僕は嬉しくて穂純君に微笑んだ。穂純君はそんな僕に驚いたが、釣られるように穂純君も笑う。
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