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次に小学生の頃の話。 あまりに優しすぎる真幸は、イジメの格好の的となり、毎日生傷の絶えない生活を送っていた。 藤治は積極的に真幸を庇い、守ろうとしたが所詮、焼け石に水程度だった。 そして真幸が小学2年生の時、事件は起こり真幸に永遠に癒えない傷を与えた。 「おい、真幸! ちょっとこっち来いよ!」 イジメグループのリーダー格の腰巾着少年が真幸に声をかけた。 「な、何?」 ランドセルを背負った真幸は、名前を呼ばれ振り返った。 授業が終わり、隣のクラスの藤治の所に行く途中だった。 「将和が今までのことを謝りたいから、連れてきてくれってさ」 腰巾着は小学生には似つかわしくない、下卑た笑いを浮かべながら言った。 「…え? 将和くんが?」 将和というのは、本名「柊将和」といって、真幸をイジメていたグループのリーダー格の少年だ。 腰巾着の話では、その将和が謝りたいと言っているらしい。 あまりのことに真幸は少なからず驚いた。 「ほら、ついて来いよ」 「うん」 真幸は喜んで返事をしたが、腰巾着の口元に、にやりとした笑みが浮かんでいることには、気付かなかった。
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