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そしていつもの体育館裏。
そこには猛犬のような顔つきをした少年、柊将和が「やっと来たか」とでもいうような表情で、一人佇んでいた。
「将和、連れて来たぜ!」
腰巾着が誇らしげに言う。ニヤニヤと笑みを浮かべながら。
「なあ、真幸、今まで悪かったな。許してくれ」
将和が頭を下げる。
「うん。謝ってくれるなら、特に気にしないよ」
真幸はニコニコと笑いながら、嬉しそうに言った。そしてその直後、真幸はあり得ない言葉を聞いた。
「お前ら! 真幸を捕まえろ!」
いきなり子分二人に、押さえつけられ、地面に顔がぶつかる。
口の中に血の味が広がる。どうやら口の中を切ったようだ。
真幸はかろうじて首だけ動かして、将和の顔を見る。
真幸は未だにこの状況が理解出来ていなかった。
あまりの出来事に脳がついていってなかったからだ。
そして真幸の表情が引き金であったかのように、将和は大声で笑いだした。
「ギャハハハッ! バッカじゃねーの?! 俺が謝るとでも思ったのか? ハッ! 嘘だよ! 嘘に決まってるだろ」
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