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そう…ぼくは、決して飛び立つ事など出来る筈もない、ただ堕ちるだけの空に向かって飛び立つ様に断崖絶壁から飛び降りたんだ。
もちろん、ぼくに翼の無い事は分かっていたよ。
だけど、少しだけ…ほんの少しだけ、ふわりと風を身体に受けて、空に浮き上がり羽ばたく気分を味わえたんだ。
怖くなかったかって?
全然怖くなかったよ。
だって、これからきみの元へ逝けるんだからね…。
そのまま空を自由に飛べそうな気がしたんだ…。
でも瞬(またた)く間にぼくは下に堕ち、冬の荒波に飲まれきみの元へ旅立ったんだ…。
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