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…19XX年 ガイア共和国
首都から少しずれた郊外、住宅密集地のなかにひっそりと下宿屋ガーベラはあった。
窓から差し込む朝日はキラキラと机上の花瓶を照らすのに、見上げた空は壁と壁との間から少し覗くだけ。
だが室内はゆったりとした穏やかな空気に包まれている。
その一室、
小柄な青年が窓辺の机に新聞を広げ、何やらとある記事を面白げに読んでいる。
「…"闇オークションオーナー暗殺事件"
犯人は巷で噂の"黒ヒョウ"…」
バサッ
「史上最凶の正義の暗殺者。
"黒ヒョウ"現る…
ふ~ん…?」
そこで青年はコーヒーを一口飲み、ベッドで愛楽器を手入れする友人を見つめた。
「人気者だねぇ。フランシス?」
呼び掛けられた青年、フランシスはちらりと相手を一瞥し、また楽器に視線を戻す。
黒い艶のある髪、鼻筋の通った顔に深海のような深い青の瞳。
「…そんな訳あるか」
そんな無愛想な友人の態度を軽くスルーし、新聞を片付けると青年、ニコルは勢い良く椅子から立ち上がると覇気のある声で呼び掛けた。
「はいはい。そろそろ出掛けるよ!セントラルまでは遠いんだから!
ほら鞄持って!」
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