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ガイア共和国首都・セントラル。
日が傾き、街中の電灯が付きだす頃、そのなかでもセントラル指折の賑やかなバーがある。
外の少し肌寒い秋風とは裏腹に、楽器の奏でる音色と高らかな笑い声で、その店は活気に満ち溢れているのが見て取れる。
その店のステージには、異国の肌を持った若者達が滑らかに楽器を奏でている。
曲中のソロの場面になると、客は更にうっとりと動作を緩めるのだ。
"…あの青年は何ていうのかしら。綺麗な音色だわ"
"こりゃ驚いた。こんな街外れでこんな音が聞けるとはねぇ…"
そう口々に話す客達が目を向けるのは、今まさにバイオリンを奏でる異国の青年。
艶のある黒髪を肩で切り、すっきりとした鼻筋。
深海のような深いブルーの瞳。
容姿の整った人間が多いこのガイア共和国でも引けを取らない程に、
美しい青年だった。
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