†第一楽章†-それは突然に-

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  沢山の拍手を貰い、今夜も無事にステージを降りた。 ステージ裏では楽器をしまいながら談笑する者や、早々と店内に潜り込んでウェイトレスを引っ掛けに行く者もいる。 そんな中フランシスは、無言で裏口の取っ手に手を掛けた。 「フラン!今夜の酒には付き合わないの?」 いち早くそれに気付いたのニコルだ。フランシスが口をきく数少ない人間。幼馴染みでもある。童顔で、もう二十二歳だと言うのに可愛らしい顔をしている。 「ああ。ここの所、ずっと触りっぱなしだったから手入れをしたいんだ。」 そう言って持っているバイオリンのケースを少し持ち上げた。 「ふ~ん?(とか何とか言っちゃって、他の人がいたらいつもこうなんだから) 帰ったら一杯付き合ってもらうからね―!」  
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