†第一楽章†-それは突然に-

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  下宿屋ガーベラに着く頃には11時をまわっていた。 別に何時だろうが構いやしないが。 チリン・・ 中は真っ暗。 他の奴らはまだ戻っていないらしい。 軋む階段を登り、他のドアより一部屋分離れた、一番奥にあるノブを回す。 必要最低限しか物を置かないその部屋に、唯一目立つものがあるとすればギッシリと詰め込まれた本棚だけだろう。 バイオリンケースだけはそっと椅子に置き、後はそのままベッドに放り投げた。 無意識にコートを脱ごうとしたフランシスの手が止まる。 …カサ 内ポケットから取り出したのは、黒い封筒。 雑に封を破り、中を走り読む。 「…」 グシャリ 握り締めたその封筒は、パチパチと鳴りだした炎に消えていった。
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