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何もない。
音も、色も、誰も。
無音で、全ての景色がモノクロで。
それに、僕だけしか此処に居なくて。
それはまるで、誰かの人生そのもの。
悲しくて、苦しくて。
楽しいと思わず、ただ生きてきただけの僕。
酷く、悲しくて泣きたかった。
ある時、君と言う明かりが出来た。
モノクロな景色の中、綺麗な色をした君。
そんな君が触れた、僕の世界に全てが栄えた。
――誰かの歌声が響く。
その声は凄く綺麗で透き通るような声。
――僕の世界に色が満ちた。
様々な色に、ただ心踊る。
――君が、居る。
独りだった空間に、君が居る。
君が僕を救ってくれたんだ。
独りしか居ない、モノクロの世界から。
嬉しいはずなんだけど、何故だか涙が止まらなくて。
ただ笑顔で見守ってる君が、どうしようもないくらい大好きで。
僕に生き方をくれた君を、追い続けて。
「最後まで、有難う」って誰も居ない空にただ、呟くんだ。
ただ、誓いの言葉も風邪にのせて。
君に届くように、祈りを捧げた。
それは雪の降る、寒い季節だった。
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