7/7
前へ
/65ページ
次へ
 彼女が逝ってしまってから六日が経った。仕事の忙しさからか涙を零す時は殆ど無くなっていた。徐々に彼女がいないという非日常が、音もなく日常に姿を変えていく。尚人にはそれが堪らなく恐ろしい。  夜には時折怖くなり、体の芯から身が震える。その度に尚人は強く願った。どうか彼女が自分を呪ってはくれないだろうか。取り憑いてくれないだろうか。そうなるのであれば、どれほど嬉しいだろう。 (そして俺が死ぬまで一緒に居て欲しい)  今日も今日とて夜は深まっていく。尚人はワイシャツのままでベッドの中に転がり込んだ。  
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加