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彼女との出会いは大学生の頃のことだった。同じサークルの仲間だったのだ。そのサークルは皆で集まって黙々と文章を書いたり、読書をしたりするサークルだった。ただ、サークルと言ってもメンバーは五人だけで、内一人は幽霊で、どちらかと言えば同好会らしい。
彼女はそのサークル中唯一の女性であった。倉橋咲恵と言う名前の彼女は、大変地味な服装を好み、それに良く合う黒い長い髪には言い知れぬ魅力があった。尚人と咲恵は不思議とよく同じ本を読み、それがきっかけで話をするようになる。
尚人は徐々に咲恵に対し、好意を持つ。夏期休講を目前に尚人は彼女を映画に誘ってみた。咲恵のただでさえ細い目が閉じているようにしか見えないくらい細くなったのを覚えている。
一緒に見た映画は、あるアメリカで出版されたファンタジー小説が原作となっている物だ。お互いに原作を読んでいたのもあって、ディナーの際にはその話で盛り上がった。ディナーと言えば気取って聞こえるが、二人は学生の身分であるためそれほど懐に余裕は無く、ただのファミレスでの夕飯ではある。
二人は夏期休講に入ってからも、頻繁に連絡を取り合い、二人一緒によく出掛けた。そしてその年の冬、二人は恋人同士となった。
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