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ユウはアメリカに居た。
理由があるわけではない。
世界の流れに合わせて生きていると、おのずと行き着いていた。
アキトに生かされ、罪の意識で一時は失語症になりかけたが、今はなんなき話すこともでき、喜怒哀楽もはっきりしてきた。
普通の暮らしに無縁だったユウは、機械的に働き、結婚して、子どもを育てる今の暮らしに満足していながらも、小さな気持ちが捨てられないでいる。
1日の終わり、夕焼け色に包まれると思い出し、無性にアキトに会いたくなる。
「アキト・・・好きになるってこと、少しわかったかも・・・」
ユウは涙を拭い、幸せな生活に身を投じた。
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