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僕は池谷秋跳(イケヤアキト)。高校生だ。基本的に、第一人称は「オレ」と言うのだけど、小さい頃から緊張したりすると、「僕」と言ってしまう。 これは僕とユウとあの夕日の見える場所での話だ。 僕が初めて夕日を見たのはまだ小さい頃、両親が大好きだった頃だ。初めて行った旅行の時に、夕日を見た。目に映る景色が紅く染まり、太陽が大きく輝いていた。僕は陽が沈んでも、赤い雲を眺めていた。 次の日からはまた夕日の無い町で過ごしていたが、僕は夕日の見える場所を探し続けた。出兵を見送る人や、新聞を読んで歓喜を上げる人、今のこの国の状況を隠し続ける政治家の言っている何か、非公認だが子供の僕でも知っていた。 この国は、世界を巻き込んで戦っている。
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