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急いで走り寄った龍牙は地にしゃがみこんでいる少女、李の顔を覗き込んで絶句した。
彼女の大きな瞳には、いっぱいの涙が溜まってある。
龍牙は彼女の涙が雫となって頬をつたう前に指で李の目元を拭った。
「あ…あのなぁ、そのすぐ泣く癖なおせよな!もう5つだろ!?」
そう、もうあの運命の誕生から5年の月日が経った。
あの誕生後、李は何事もなくすくすくと育った。
…ある1つの問題を除いては。
「だ、だって…こんな暗い中1人で魔物達に囲まれているのって、とっても怖いんだもん…。」
李が抱える1つの問題…それは“瞳”であった。
その、特殊な“瞳”は流羅家が代々受け継ぐ後継者の証だった。
彼女の祖母が持っていたそれを、李は2倍もの霊力で受け継いでいた。
「ほら、何もしなければ襲って来ねぇから安心してついて来いよ。じゃないと一生家に帰れないぜ?」
ケラケラと龍牙は泣きじゃくる李を小馬鹿にする。
しかし、皆が気持ち悪がる李の瞳を、彼女の家族を除いて麗家は気持ち悪がることはなかった。
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