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時折脱走するなど特訓を投げ出すような行動を起こしたものの、2人とも無事に術を覚えることが出来た。
使いの馬車に乗せられて、16歳と14歳になる2人の旅は始まる。
2人を乗せた馬車は10キロほど行った町、“ミストタウン”に止まった。
「こっからは俺達で歩くから大丈夫だぜ。」
龍牙にそう言われ、使いの馬車は彼らの村に帰っていった。
「よし、じゃあ…まず宿を探さなくちゃ。」
李は、少しワクワクしながら龍牙に笑いかける。
「……なんでそんなにニヤけてるわけ?ブサイクな顔がさらにブサイクに……」
「何か言ったぁ!?」
李は龍牙の言葉を無理矢理遮り、問いかける。
妙に冷たい視線が龍牙を射抜く。
サァーッ…と生温い風が、近くの池の水面を少し波立たせた。
「悪かったわね。どうせ可愛くないですよォーだ!」
李はほっぺを大きく膨らませた。
龍牙は「もう馴れた」とでも言いたげに李を見る。
やはり少しは怒っているようにも見えるが、でもどこか心の中で、鼻歌でも歌っていそうなくらい機嫌がいいように見てとれる。
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