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…そうよ。
私が居なければ家族みんなが差別されることも、龍牙に迷惑かけることもないのよ。
もういっそのこと、ここで消えてしまいたい。
◇ ◇ ◇
『その願い聞き届けたり。我の身体になり、その魂、消してしんぜよう…。』
「……っ!?」
彼女は気が付かなかった。
悲しみと苦しみにより気が逸れてたから。
「私の願い、叶えてくれるの?…それなら、なんでもするわ。」
『我は霊狐なり。そなたには1度、会ったことがある。その時は怯えて我をなかなか見なかったがな。その瞳…その身と共に我に捧げよ。魂は後でじっくりと喰ろうてやる。』
霊狐はニタリと笑った。
「えぇ、いいわ。消えることができるのならそれで。」
李は無表情で言う。
『契約完了だ。』
霊狐はそう言うなり、青白い炎をまといながら李の胸へと入っていった。
李は気が遠くなるのを感じながら、遠くで龍牙が自分の姿を探しているのを見た。
「…たくっ!李のやつどこ行ったんだ。」
龍牙は少しイライラしながら呟く。
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