9人が本棚に入れています
本棚に追加
『もう我のものだ。お前にはどうでもよいだろう。』
霊狐が嘲笑う。
「なぜ、李に憑いた。」
龍牙は拳を強く握り締めた。
『なぜ…だと?そんなことは簡単だ。彼女が望んだ。だから叶えた。それだけのことだ。』
霊狐は操り人形と化した李の周りをくるくると回った。
「…望んだだと?へっ。笑わせるぜ。なんで李がそんなこと望むんだよ。」
龍牙は軽く鼻を鳴らした。
李がそんなことを望んで誰のためになるというのか。
龍牙は霊狐の方へと剣を構えるも、霊狐は李を盾にして龍牙の攻撃を受けまいとする。
さすがの龍牙も李を盾にされてしまっては身動きも出来なかった。
その時、龍牙はミストタウンで聞いた1つの話を思い出した。
……――その化け物は自分のお城を持っていてな。そこで勇気ある挑戦者を待ちわびているという。しかし、そこへ行った者は2度と自分の故郷へは帰ることが出来なかったそうじゃ。
(もしかしたら…。)
龍牙は霊狐に話を持ちかけることにした。
最初のコメントを投稿しよう!