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ザッ、と龍牙の立てた足音に町人はビクッと跳ね上がる。
町人達は怯えたように龍牙を見ては家の中に入ってしまった。
こんな状態では話を聞くことも出来ない。
「なんだいここは。旅人が町に入った瞬間に家の中に入っちまってさ。」
龍牙は驚いたように声のした方を振り向いた。
そこには自分と同じくらいであろう一人の少女が立っていた。
赤い長髪を後ろで結っている。
背中には弓矢を背負っていて、実に逞しい少女である。
「あぁ…驚かしちまったようだね。あたしは飛・蝶舞(ヒ・チョウマイ)って言うんだ。よろしく。」
龍牙は彼女の差し出した手を握り、よろしくと握手を交わした。
彼女は龍牙達の来たミストタウンの南方、“ファイヤーシティ”から来たらしい。
かなりの薄着だが寒いような仕草も見せず明るい笑顔を見せていた。
彼女もこのゴーストタウンの伝説を聞いてこの町にやってきたと言う。
「だったら話が早いじゃないか。一緒に化け物退治と行こうよ。」
彼女はすでにノリノリでゴーストタウンの北にある丘へと足を進めていった。
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