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龍牙は李のことも話せないまま彼女について行くことにした。
すると、蝶舞は道の脇から出て来た一人の男の子にぶつかった。
「いててて…あっ、大丈夫かい?」
蝶舞は男の子に手を差し出し男の子を立たせてあげる。
立ち上がった男の子は目に涙をいっぱいに溜めて蝶舞に甘えるように抱き付いた。
そして大声で泣き叫んだのだ。
「ちょっ、どうしたんだい!?何か理由があるんだろ。ほら、姉ちゃんが聞いてやるから話してみな?」
男の子はしばらくしてから泣き止み、蝶舞から離れた。
男の子の話によると、彼の父親は数年前から城の化け物、霊狐を退治に行ってから帰ってこなくなってしまったらしい。
母親も病に倒れ、寝たきりだと言うのだ。
蝶舞は何の根拠からか、男の子の肩を叩いては「あたし“達”にまかせな」と言い張った。
(え…あたし『達』!?)
龍牙はまさかと思い蝶舞に問おうとするも言葉は遮られた。
どちらにしろ拒否できないのが事実。
龍牙は李を助けなければならないのだ。
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