狂宴

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自分の座席の後ろを見てみる 「これは……どうりで静かな訳だ。みろ遥、誰もいないぜ」 「な、なんで…っ!?」 と、後ろの方で時計の秒針が動くような音がしているのに気付いた 音のする方をしらべてみる…… 「は、遥!バスから降りて出来るだけ遠くに走れ!!」 言うと同時に走り出す 「何で?」 「爆弾だ!!」 「嘘っ!?」 遥もバスの出口を目指して走る 「仕方ない、洋館の方へ走るぞ!」 「わ、わかった!」 俺と遥が全力で走りだす バスから洋館までは700mくらい しかし、遥が慌てすぎて走り出してすぐに転んでしまった 「あっ、足が……!」 どうやら左足首を挫いたらしい ヤバい… この距離では巻き込まれてしまう さっき見た限りでは爆発まで多分三十秒くらい 爆弾の威力を計算すると人一人抱えたままでは逃げ切れるかどうか…… だが やるしかない 「遥、恩返しを期待する!」 遥をお姫様抱っこをして走り出す。と言っても早く歩いたときとさほど変わらない しかしいい場所を見つけた そこを目指す 爆発まであと十秒… 「大介、私を置いて…」 「ふざけるな!」 あと五秒… 間に合わないのか…? 四秒 三秒 二秒… 「間に合った!」 木の影に、遥を庇うように隠れた 直後 地面を揺るがすほどの轟音が鳴り響き、バスが爆発した。ガラスの破片がこっちにも飛んで来る 「ぐっ……」 「大介!?」 「この程度、気にするな」 破片が隠れ切れていない右腕をかすめ、切れていた 「もう安心…とまでは行かないが大丈夫だろう…ほれ」 遥を立ち上がらせ、洋館に向かって再び歩き出した
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