五刀・OSE

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夕方から夜にかけて賑わいを見せる商店街。 しかしソコは雑踏や界隈からは程遠い。 裏路地のさらに奥。 残飯や、今は使われぬ木材が物寂しく、しかし所狭しと置かれている広場。 協奏は尚も続く。 打ちすえ、 打ち壊し、 打ち貫く。 一体…あれは何なのだろうか。 俺の目に写るはまさに摩訶不思議空間。 刀剣や鉄パイプ、釘打ちバットを持った複数の人影。 1、2、3…六名。 対してその中心は… 1…一名。 一言で言えば異様。 リンチのようにも見えるが…中々どうして不思議な物だ。 多勢に無勢… 否、 多勢“が”無勢。 一人が複数を私刑にかけているようにしか見えない。 何度も目を擦る。 しかしながら変わらない事実。 六の凶器と一の狂気。 六対一などランチェスターの法則では計るまでもない。 愚行だ。 『…!』 痺れを切らしたのか、硬直していた場を一名が動く。 その手には刺身包丁。 風を切り、彼方へと迫る。 ソレを皮切りに周りも動いた。 迫る 迫る 迫る 迫る刄。 “カキャァァン!” そして…消えた。
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