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ふと、目を覚ますと小さなベッドの中にいた。身体のあちこちが痛い…おでこにはタオルが乗っていた。
部屋はランプだけの小さなもの…身体を起こすと同時に扉がカチャリと開いた。
入ってきたのはあの女の子だった。
あたしは慌てて布団をかぶった。
女の子はちょっとはみ出てるあたしの頭に手をあて…
「よかったわ、熱が下がって…」
「熱?」
あたしは顔を出して起きた。女の子は持ってきたカップをあたしに渡した。
「それを飲んで…毒ではないわ」
あたしは恐る恐る飲んでみた。温かいミルクだった。
「私はツヴァイ。このエルアークを統治なさる方の使いです」
女の子は深々と頭を下げた。
あ、黒のエプロンドレス…よく見たらメイドさんの恰好だった。
「あたしは…ティーロ…でも、それ意外思い出せないの」
あたしは下を向く。
「当たり前ですよ、あなたは“迷い人”。ここの人じゃないから…」
「え!?」
「別の世界では身体が持たないの。それなのにさっき、なんてことを…あなたは砕け散ってしまうとこでした」
“あの発光はあたしだったの!?”
「でも、もう大丈夫ですよ」
ツヴァイはにっこり笑った。
「でも、あたし…これからどうしたら…」
「それはあなたが知っているはず…」
ツヴァイはあたしの背負っていたリュックをベッドの上に置き
「さぁ、こちらへ」
扉を開け、招いた。
あたしはベッドから降りて靴を履くと、リュックを背負い…隣の部屋へ…
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